特別な一着
早いものでもう10月。結城は秋の長雨が続いております。
みなさまの街の空はいかがでしょうか。
雨が続くと、少し憂鬱な気分にもなりますが、一雨ごとにひんやりと澄んでいく風が
イベント盛り沢山でお洒落も存分に楽しめる季節を運んできてくれると思えば、何だかワクワクしてきます。
思う存分楽しみたいものですね。
特別な日に何を着ようかと考えている時が一番楽しかったりするのは、きっと私だけではないはずです。
今日は、そんな日にもおすすめな本場結城紬をご紹介します。
柄という柄ではないけれど、無地でもない、表情豊かなグラデーションが美しいこの反物は、
編みぼかしという技法で染められた糸を使って織られたもの。
結城紬独特の技法なのですが、生産反数が少ない為、
結城紬の中でもなかなか目にする機会がないものかもしれません。
編みぼかしとは、文字の通り、糸の束を編み、染料に浸して染める方法で、
染料の浸み込み具合による色の濃度の差がぼかしとなります。
そのぼかしが、反物になったときにより自然で美しいグラデーションになるように、
織子さんが糸を絶妙にずらし、または合わせながら織りあげていきます。
その作業は絣を合わせるのと同じくらいの技術と根気、何よりセンスが必要だそうです。
織り上げられてはっきりと現れる白い部分はハイライトのような効果となり、
独特の煌びやかさと、浮き立つような立体感が生まれます。
特別感があり、ドレッシーな雰囲気の結城紬なので、
フォーマル感のある袋帯を合わせてドレス感覚で着こなすのもおすすめです。
もちろんカジュアルなおしゃれにも。
ぼかしは色が強く出過ぎないので、補色の小物を取り入れたり、色で遊ぶのも楽しいです。
編みぼかしの魅力は、写真や文章だけではではなかなか伝えきれない、
繊細な色のニュアンスと質感、奥行きとゆらぎのある美しさにあります。
澤屋の編みぼかしは、想いとこだわりの詰まった自信作。
ぜひ一度、お店で手にとっていただけたらと思います。