受け継がれるもの
こんにちは。
澤屋の奥澤です。
この写真の鯉のぼり、私が生まれた時に父が私の為に頼んで作ってもらった鯉のぼりです。
今回25年以上経って長男の為に飾りました。端午の節句まで、ゴールデンウィーク中など奥順の中庭で見て頂いた方もいるのではないでしょうか。
鯉のぼりについては、奈良時代から武家では端午の節句に鎧兜を飾ったり、幟(のぼり)を立てたりしていました。
江戸時代に入ると庶民の間でも吹流しなどを揚げるようになり、その後中国の故事にならい吹流しに鯉の絵を描くようになったそうです。
中国の故事とは、鯉が竜門の滝を登ると龍になるという伝説です。
ここから「わが子が丈夫で、将来出世するように」という願いをこめて、こいのぼりとして揚げられる様になりました。
絵の世界でも江戸時代、歌川広重の名所江戸百景にも鯉のぼりが描かれています。
父の鯉のぼりは、戦前からこいのぼりの生産量日本一の埼玉県加須市の手書きの物です。少し切れてしまったところもありますが、亡き父の思いが詰まったものなので、これからも直して使おうと思います。
やはり、私たちは贈る方の思いがこもっている物、こと人の手がかかった物に触れた時には特別な温かみを感じたりするものではないでしょうか。
今でも叔父は祖父の結城紬を大切に着ています。また父が大事そうにいつも着ていた祖父の着物は今でも鮮明に思い出すことが出来ます。一枚の布を通して思い出を共有出来たり。想いを受け継いでいけるのは、結城紬の良さではないでしょうか。
こいつとは長い付き合いになりそうだな、そんな素敵な関係をイメージできる物が心と生活を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
また来年のゴールデンウェークの日には奥順の中庭で鯉のぼりが見られますので、ご興味がある方は是非いらして下さい。